バイクメンテナンス
ロードバイクの乗りにくさが改善!快適走行につながる、洗車クリーニングやオーバーホールのメンテナンス
ゴールデンウィーク最終日、一週間ぶりに乗ろうと思ったら予報に反して午前中から雨。降らないうちにと思っていたんですが、残念無念、トレーニングはまたしばらくお預けのようです。
連休で祝日営業なのに、ここ数日は店を出るのがいつも10時過ぎ。修理などだいぶ作業が溜まっているため、お預りしている方々のバイクを少しでも早くお渡ししようと作業に熱中していると、こんな時間になってしまうのです。
走ってもいないのに朝起きた時は疲労感満載で、足の筋肉痛はスクワットみたいに立ったり座ったりを繰り返している作業のせいでしょう。でも、忙しくて疲れていてもオフシーズンよりは体によさそう。
過去もっとも手強かったバイクのリフレッシュメンテナンス
今週はいつも以上にバイクメンテナンスの作業が多かったように思います。洗車掃除も多かったんですが、今週の洗車は買取や下取りのバイクのみ。4台ほど洗いました。そのうち3台は汚れてはいるけどまあまあ普通の状態。しかしもう1台が思っていた以上に手強かった。
そのバイクは掃除の中でも油汚れを落とす時間が最も長かったです。クリーニングして点検整備を終えて中古バイクとして用意するまで、通常は1台あたりだいたい2時間くらい。でも、その最強バイクに要した時間はおおよそ2倍。ちょっと時間掛けすぎたかも…。
アティックの洗車の仕方を少しご説明すると、まず最初にワコーズのフィルタークリーナーで駆動系のパーツから油汚れを落とします。文字どおり、車のエンジンルームで使われている部品のクリーナーですから、ほとんどが溶けた油汚れをクリーナーが取り込む形で落ちてくれます。
汚れに満遍なくフィルタークリーナーを浸して付着している油が落ちたら、あとは一度水で洗い落として、そのあとに液体洗剤でバイク全体をシャンプー洗車。そして、最後にもう一度水で洗い流せばピカピカバイクの出来上がり。
しかし、過去の経験から今回ばかりはフィルタークリーナーだけでは無理だろうと、洗車の前に手作業での除去作業を行いました。すでに3枚目まで除去してますがこのようにギアの間にびっちり詰まった油汚れはフィルタークリーナーだけでは落ちません。こういう固形物体となった頑固な汚れはクリーナーでも溶けないんですね。
なので、そのような状態からここまできれいになったカセットギアを見ると、ようやく終わったなという満足感で感慨無量の店長でした。
でもそのあとにチェーンの汚れ落としもやる羽目になるとは…。
ギアに汚れがこびり付いていたということは、当然というか、チェーンのほうにも同じく固体化した汚れがこびり付いていて、その後さらに30分延長。プレートの中に洗車で落ちない汚れが残っていたのは初めての経験。これは油分が落ちてタールを硬くしたような状態。
そしてその後、写真の掃除が終わるまで、プレート内を1個1個綿棒で掃除する涙ぐましい努力があったのです。(涙)
オーバーホールのクロモリロードバイク
今週行った作業の中には、まあまあ状態の3台以外にも、少し汚れが気になっていて先週洗車していたバイクが1台あります。そちらはオーバーホールのお預りバイク。ずいぶん長いこと乗っていないということで、全体的にメンテナンスしてほしいとお持ち込み頂いたロードバイクです。
タイヤもまだクリンチャーが出回っていない頃で、店長もそうだったように履いているのはチューブラータイヤ。しかしすでにリムセメントは硬化してタイヤをよじると簡単に剥がれます。そこで普段のメンテナンス性を考え、今回のバイクリメイクでホイールも一式クリンチャー用に交換となりました。
バーテープやケーブル類、チェーン、磨り減って汚れているブレーキシューなど、消耗部品もすべて一緒に交換です。で、せっかくだからバイク全体をきれいにしたいと思い、ご依頼には入っていないけどこちらのロードバイクも洗車することにしたのです。
で、洗車前に、シフトの動作を確認していた時に、あれっ? おかしい。STIレバーが空打ちのスカスカ状態になっていることを発見。そう、これまで何度も経験あるように、これはブラケットのユニット内でグリスが固着して、ラチェットの爪が戻らなくなっている状態。
この症状が、どれくらい作動しない状態が続くと発生するかは不明ですが、解消法は乗らなくてもレバーを動かすこと。これは、シマノのサイコン「フライトデッキ」にも同じことが言えますね。店長も経験あります(ひと冬乗らない時でしたがユニット内の端子を調整して接点復活剤掛けたら戻ったのでひと安心)。ある程度の年月が経過したバイクは別の意味でメンテナンスが必要ということですね。
この不具合解消のために作業がずいぶん遅れてしまったけれども、お預かりの時に引き取りは連休後とおっしゃっていたのが救い。連休中に何回かに分けて、気持ちに余裕を持って作業できてよかったです。
スレッド式のヘッドセットから学んだこと
さて、今回の作業で学んだこと。それはヘッドセットのグリスアップをしていたときです。スレッド式のフォークコラムですから、抜く前はカップの形状からベアリングは当然リテーナー式だと思っていました。
そして、ヘッドパイプからコラムを抜くときに、フォーククラウンを見たら、下玉押し側がやっぱり汚れているなと思いつつ、鋼球が1個ないことに気付く。カップからベアリングを外した瞬間にリテーナーの保持が緩くなってて下に落ちたんだろうくらいに思ってましたが、よくよく見たら違いました。
このバイクに使われているのはこれまで見たことのない形式のベアリング。鋼球が保持器に乗っかっているだけのシンプルな作りでした。ヘッドから完全に抜こうとしたら、さらにボロボロと何個も床に落ちてしまった。服に付かなかったのは幸い。衣類に付いたグリス汚れは絶対落ちないから。
よく確認しないで先入観で作業すると、大変な目に遭うかもしれません。まさか下玉押しのベアリングが、こんな簡単な構造になってるなんて思わなかったので…。1個数ミリのこの鋼球がコロコロと転がってもしも1個でも見つからなかったらほんとに大変です。
手持ちの鋼球で同じサイズのものは持っていないし、ヘッドセット自体もこの製品が今もあるのかわからないし、何より納車に間に合いません。今回は鋼球がグリス汚れで転がらなかったからよかったけど。
今後はどのパーツも動かす時は十分に注意して作業しようと思います。
その後、ヘッドは、グリスアップして調整後はガタもなくなり、これでスムーズなハンドリングが再現されるでしょう。
今回のグリスアップでは粘着性の強いシマノのプレミアムグリスを使い、下玉押しのベアリングも作業の時にまた落ちないように、まず保持器をクリーニングしてから、このように1個1個グリスガンで盛りながら作業しました。
メンテナンス作業で使うグリスは全部で4つのメーカーを使い分けていますが、それぞれ成分が違いスポーツバイクの場合は適材適所に応じて使い分けられるので便利ですね。
BBのスクエアシャフトできしみ音が出たときの解消方法
ところで、このバイクのBBはスクエアのテーパーシャフトですが、同じBBをお使いの方がいらっしゃったら、メンテナンスする場合はシャフトの先端にグリスを塗っておいたほうがよいです。きしみ防止のために。
BBからのきしみ音は、テーパーシャフトの場合はクランクとシャフトの嵌合部分が原因となっていることが多いようです。店長も、昔レースで経験あります。当時はホローテックが出る前だったので、74系のデュラはBBはまだテーパーシャフトで、異音の原因がわからずレース会場でシマノのメカニックに相談したことがあります。すぐに直してくれましたが、対処方法はこの写真と同じくグリスを塗って再装着しただけ。一発で解決しました。
グリスを塗る場合はあまり奥まで塗る必要はありません。クランクに挿入したあとの余分なグリスは汚れがひどくなるだけなので、量は必要最小限にしたほうがよいですね。
ハンドルがアルミで、ステムがアヘッドよりもしなりやすいスレッド式の場合も、ギシギシと気になる音が出るケースがあります。これも店長経験あります。原因は同じだと思いますが、もちろんこちらは絶対にグリスは×。動いたら大変です。
ハンドルの場合、アルミでもカーボン用の滑り止めに使われる専用コンパウンドだったらよいのかもしれません。試したことはないですが。
まとめ
今回は、クロモリロードバイクのオーバーホールで注意したいヘッドセットのグリスアップ作業など店長の経験をお伝えしましたが、バイクの仕様は実に様々。店長もこれまで、作業している時にこの処置をするかしないかで迷いながら結局やって失敗したケースもありました。もし、バイクをご自分でフルメンテナンスされる時には、自分のバイクの仕様をよく確認して十分注意しながら作業してください。
そして、洗車ももしご自分で行おうとお考えでしたら、洗車も大事ですが日頃から定期的なメンテナンスを心掛けていると、快適に感じる走行感にも大きな違いが生まれるものと思います。
バイクを簡単に掃除することもメンテナンスの一つですね。そのことが洗車の時間も短縮して、いつもきれいなバイクに触れることで愛車への愛着も増していくものと思います。難しい作業はショップに任せるとしても、ご自分でも簡単にできるセルフメンテナンスでバイクを長く快適にお楽しみください。