機材情報
デローザ MERAKのBBに発生していたクラック
このトラブルは、残念、かつ、かなりショック。トラブルはトラブルでも、修理のお持込みバイクではなく買取りしたバイクの機材トラブル。最近、出張買取りが続いています。先週土曜日は菊水元町、今週は月曜日に札幌ドームの近く月寒東に出張してきました。
フォームから査定申込みいただいて、仮査定の金額でご納得いただき本査定でお伺いすることになり、訪問して現車を拝見したところ、フレームに申込みの時には聞いていなかった深刻なダメージを発見。BB周辺にでっかいひび割れがある。こんなケースは初めて。これは完成車としてはとても買取りできない状態です。
土曜日のバイクも駆動系にトラブルが発生しているかもしれないとお聞きしていたので、土曜はそれを踏まえてのご訪問だったけれど、こちらは心の準備ができていない状況での、このひび割れたバイクとのご対面。正直、えーここまで来てこんな状態なの?とショックを受けました。完成車としてリメイクできないのはとても残念。
BB周りにパックリ割れたクラックを発見
今回の売却はご本人のバイクではなく、家族の友人が昔乗っていたバイクを家族が預かっていて、もうそのバイクには乗らないから代行して売却するというもの。預かった方はスポーツバイクの知識はないため最初から事の重大性をご存じないようでした。(そういえば、以前も破断したアルミATBで同じようなケースがあった)
本査定に入る前にお話があって、元のオーナーからはギアの付近にキズがあるから直して使ったほうがよいと伝えられていたようです。ギア付近のキズというから、パッと見た時はインナーの歯先あたりの擦れキズかと思ってました。チェーンが外れて付いたこのキズは、範囲が広いけどこれくらいだったら何とか買い取れる、と思ったのも束の間、視線を右に移動すると、なんと、完成車のフレームでは初めての経験でしたがフレームがパックリ割れている。
表面にひびが入っているのではなく、シートチューブからダウンチューブまでぐるっとひと回り三分の一程度パイプが完全に割れている状態。
アルミも修復はできますが、問題はひび割れの場所と修復費用。友人のビルダーに意見を聞いてみました。場所が場所だけに、一時的には修復できるけどまたひびが入る可能性が高いとのこと。
バイクの使い方もポタリング程度で車体にあまり負担の掛からない状態だったらよいのかもしれないけど、やっぱり通常の使い方は無理っぽいです。カンパのRECORDで組んだデローザだったからとてももったいないけど、でも、無理なものは無理、完成車としてのレストアは諦めました。
フレームがひび割れた原因
元のオーナーの方は、北海道に居た頃は函館に住んでいて、海の近くだったというので最初は塩害が原因かなと思いました。ホイールのニップルに腐食が目立つし、アルミのパーツも腐食で表面が浮き上がっている箇所があるので、環境的な要因なのかなと思ってました。
でも、フレームビルダーの友人が言うにはアルミフレームのクラックはそれほどめずらしいことではないようです。ちなみに落車した場合はスチールでも折れることがあります。昔、ツールド沖縄で同行したチーム員が落車の多発する場所で単独落車して、トップチューブをボッキリ折損した事故があったし、局所的な衝撃が加わればどんな素材でも破断してしまう可能性は否定できません。
友人が修復したアルミフレームは何が原因でクラックが入ったかはわかりませんが、今回のケースはおそらく軽量化されたアルミパイプならではのトラブルでしょう。この時代のMERAKに使われている素材は超軽量アルミのDEDACCIAI SC61.10A。20年以上前のフレームですから経年劣化も関係しているのでしょう。
もちろん、いきなりこのようにパックリ割れてしまうわけではないでしょうから、DEDACCIAI SC61.10Aフレームをお使いの方は、塗装の表面を定期的にチェックしておいたほうがよいですね。もし亀裂を見つけてしまったら、小さな亀裂の場合は修復して再使用することも可能だと思います。そのまま使い続けたら、今回のように廃車につながりかねません。十分ご注意ください。