機材情報
ロードバイクのホイールに装着するカセットギアとフリーボディの互換性
買取したロードバイクを洗車したあとに、スプロケットもきれいに掃除しようと外したところ、ちょっと気になることがありました。
それはフリーボディの仕様に関してなのですが、ちょうどよい機会なので、今回はカセットギアとフリーボディの互換性についてこれを先に書いておこうと思います。今日はシマノのホイールについて。(以下、カセットギアは「ギア」、スピードは「s」と表記)
シマノのロード用ホイールは、数年前から、完成車向けのR501を除いてすべて11s対応になりましたね。そこで、11s以下の環境でお使いの時に、何らかのトラブルでホイールが壊れたときや、ホイールだけグレードアップしたいというときに、新調したホイールに現在のギアがそのまま使えるのかどうかは気になるポイントだと思います。
11sホイールと10s以下のギアの適用性について
完成車でも、Tiagraコンポのバイクには、RS010や海外向けのRS11など廉価版の11sホイールが装着されているケースが多いです。現在のTiagraは10sですが、スペーサーを入れて11sホイールに対応させています。(11sホイールとあるのは、11sフリーボディ装着ホイールという意味です。念のため)
で、この11sホイールは、シマノのカタログでは対応スピード11/10という表記ですが、このスピードに限らず、専用スペーサーを追加することによって、9sでも8sでも使うことができるのです。
その詳しい装着方法はまた別の記事でご説明しますが、その前に、まずギアとフリーボディの互換性をわかりやすくするために、シマノ製フリーボディの長さを記述しておきます。
シマノロードバイクホイールのフリーボディの長さ
以下の数値はロックリングを装着しない状態で、ボディの外端から奥のギアの面があたる箇所までの実測です。
・ 7s用ボディ: 30.75mm
・ 8s用ボディ: 35mm
・ 9s用ボディ: 35mm
・10s用ボディ: 34.3mm
・11s用ボディ: 36.75mm
フリーボディの長さはシマノからは公表されていません。この数値は、これまでその都度店長が計測していた実測値を、整合性を取るために非公式にシマノから入手していた数値と照らし合わせて利用していた資料をもとに、今回ここに掲載しています。
計測箇所によってはコンマ数ミリの公差がありますが、この記事をご利用いただく方は、あくまで参考資料としてご承知ください。
それでは各スピードの互換性についてご説明しましょう。
ギアとフリーボディの互換性と使用するときの注意点
まず、今でもお使いになられていらっしゃる方も時折お見掛けする旧式のモデルから。
8sと9sのギアとフリーボディについては互換性があって、それぞれ共用できます。もちろん8sと9sはギアの厚みが違うから、チェーンは別規格となるのでその対応スピードに合うチェーンが必要です。そして、8sにはUGギアとHGギアがあって対応するフリーボディが違いますからそこもご注意ください。9sからはHGギアです。
デュラエースも写真のFH-7403はHG対応で、1つ前のモデルFH-7402はUG対応です。8sからエンド幅が広くなったオーバーロックナット寸法(OLD)130mm対応のフレームにはどちらも装着できますが、使用するギアによって使おうとしているホイールが対応できるかどうかが分かれます。
カセット式のFH-7403はUGにも対応しますが、FH-7402はUG専用でHGには対応しません。見分けるポイントはロックリング。UGギアはトップギアがねじ込み式なのでロックリングは付いていません。下の写真はOLD126mmのFH-7400-7ですが、こんな感じですね。
ちなみに、現在使われているHGギアに対応しているFH-7403は、10sギアも装着できるんですが(1mmのスペーサーを入れて)、一点注意が必要です。それはトップギアの歯数。FH-7403には11Tギアは装着できません。フリーボディのスプラインが11Tギア対応ボディと形状が違うから。
見出し写真のFH-7403ボディは端まで山がつながっていますが、11Tギア装着ボディは11Tギアのつばの形状に対応するよう設計されていて、山が途中で切れていますね。これはもちろん、どのホイールメーカーでも11Tギアを装着するフリーボディは同じ仕様です。そういうことでFH-7403は12Tギアからの装着となります。
7sギアは使用している方は少ないでしょうけどまだ時折見掛けます。フリーボディは装着幅の数値をみてもわかるように専用品。しかも7sは、現在は下位グレードに一部あるだけだから、シフト周りが壊れて交換となったら一気にグレードダウンとなる可能性もありますね。ちなみにチェーンは6/7/8sすべて共通です。
(その後、こちらの方法で7sギアを10s対応ホイールに装着できたのでご参考まで)
10s用フリーボディは10sだけにしか使えない専用規格で、今ではほとんど見掛けることはありません。アルミのボディでしたが、10s以下には使えないため汎用性の問題から生産をストップしたのでしょう。
次回は、いよいよ11sホイールへの8/9sギアと10sギアの装着方法について書いていこうと思います。コンポはそのままでホイールだけアップグレードしたいという方は必見です!