自転車修理
バイクのドライブトレインに起こるアクシデント対処法
ロードバイクに乗り続けていると、様々なアクシデントでパーツを交換しなければならないケースも出てくるかと思います。これは、外的に生じたものでなければ、普段からのメンテナンスが関係している場合と、機材的な経年使用に伴うトラブルに分けられますが、経年経過してトラブルを起こす代表的なパーツはデュアルコントロールレバーでしょうか。
デュアルコントロールレバーは、まったく動かさない状態がおおよそ10年以上続くと、ユニット内のグリスが固まってインデックスが効かなくなるケースが多くあります。もし、乗らなくなってもあとあとのことを考え、リペアスタンドなどを利用してホイールを回しながらたまにレバーを動かしてあげたほうがよいですね。
さて、今回は変速まわりのトラブル対策にも参考となるようアティックでの修理事例を2例ご紹介します。
リアディレイラーの調整で解消しなかった変速不良の原因
これはすべての人に当てはまるわけではありませんが、通勤やトレーニングなどでバイクの使用頻度が高くて、どちらかというとハードにバイクを使用されているような方に気に止めておいて頂ければと思います。
変速トラブルでのお持ち込みバイクで、ワイヤーを交換後にいくらインデックス調整しても変速不良が直らないケースがありました。105のリアディレーラーです。
ワイヤー交換の時は、もちろんプーリーの初期位置を再確認します。ここは問題なし。次に、プーリーとギアとの詰まり具合はどうかとテンションアジャストボルトを確認するも、ここも特に問題なし。
おかしいと思いつつ、後ろからもう一度つぶさに確認してみると、原因がわかりました。写真のとおり、ガイドプーリーが歪んでいます。
変速不良の原因はわかりましたが、なぜガイドプーリーが歪んでしまったのか、その原因まではわかりません。ハードな使い方が起因しているのでしょうが、特定はできません。もちろん製品上の不具合ではありません。
仮定ですが、フロントがアウターでリアがローギアを多用している使い方ですと、変速機に一番負担の掛かる組み合わせですので、こういう使い方を多くしていたのかもしれません。あとは1段1段変速せずに一気に飛ばした変速を多用している場合も、ガタツキが出やすくなり、機材の寿命もそれだけ短くなると思います。使い方次第で機材も長く使えるはず。
今回は、プーリーの交換だけで様子をみてもよかったけど、本体とプレートとの接続箇所に何らかの不具合が起きている場合は交換したプーリーが無駄になってしまうので、リアディレーラーを丸ごと交換して変速トラブルは無事に解消しました。
ちなみに、105のリアディレーラーは、5800以降は後ろから見るとプレートが右側に少し傾いています。これは不良じゃないかと勘違いされる方がいらっしゃいますが、そうではないので念のため。5700と5800を並べてみるとよくわかりますね。右がRD-5800。
今回のような故障はコンポーネントの違いによる耐久性も関係してくると思われます。ティアグラを通勤用に使っているケースでは、リアディレイラーの故障はけっこう見受けられます。
フロントディレイラーの変速不良
他に105で経験した故障としては、フロントディレイラーが稼動しなくなった不良があります。ただし、これは5600系のフロントディレイラーだけに起こる現象。これまで何度かアウターギアからインナーに落ちなくなったと持ち込まれたバイクがありました。
確かに、実際にシフトレバーをインナー側にしても、本来ならバネの力で初期位置に戻るのにプレートはまったく動きません。手でアウターからインナーへ移動させようと思ってもかなりの抵抗です。
最初のケースでは、ディレイラーにスポーツドリンクが付着していたので、その飲料が固まって動かなくなっているのだと思いました。
でも違ったんですね。これは5600系を使用しているうちに起こってくる可能性のある、構造的な不具合でした。これまで4件くらい持ち込まれて、まったく同じ症状でした。
もちろんこの現象はすべての5600系ディレイラーに起こるわけではないでしょうが、なんらかの要因が重なるとこのような状態になるのでしょうね。解決策は、ディレイラー自体を交換するしかありません。FD-5600を使用していて、もし同様の変速不良に遭ったら交換して対応してください。