バイクメンテナンス
バイクを快適に乗るためのチェーンメンテナンス方法
いよいよ札幌も初雪を迎えましたね。季節的にそろそろロードバイクもオフシーズンに入る時期となって、洗車のご依頼も増えてきました。外気温が10度を下回ると外での洗車は厳しくなるので、洗車は今月中旬くらいまでかなと思います。
屋内に保管される方や、室内でのローラー台トレーニングに切り替える前にバイクをきれいにしておきたいという方は、洗車を予定されている場合はお早めにお願いいたします。
バイクを長く快適に乗り続けるためには、特にチェーンのメンテナンスが大事ですが、バイクはいつも自分できれいにしておきたいという方に、今回はセルフメンテナンスをする際のチェーンの注油とクリーニングの仕方についてご紹介します。普段から行う定期的なメンテナンスは、チェーンもより長く使うことができますね。参考にしてみてください。
チェーンのクリーニングについて
チェーンに注油する時はその前に必ずクリーニングしましょう。たまにチェーンの汚れがひどいバイクを見掛けます。原因は、オイルの注し過ぎかクリーニングをしていないか、もしくはその両方。クリーニングせずに注し続けると、油汚れの粘度が増してそのうちタール状に固まり、ギアも汚れてその汚れを落とすのはかなり大変。
汚れがさらに進み、炭化したように固化してギアにびっちりくっ付いている状態になると、その汚れを取るだけで相当な時間が掛かったりします。あまりにひどいこびり付いた汚れは、洗車掃除だけでは取れないことも。
当然、汚れがひどいとチェーンやギアなど機材の寿命も短くなります。ギアの固化した汚れは歯飛びの原因になることもあって、ノーメンテナンスの一般車でたまに見かけます。
で、そうなる前に、チェーンに注油する時はクリーニングが必須。使うのは、汚れ次第でパーツクリーナーかディグリーザー。軽い汚れだったら専用のチェーンクリーナーがおすすめ。
汚れがひどければ、ディグリーザーだと固形化した油汚れ以外はほぼ落ちると思います。ただ、アスファルトに付くとボロボロになるほど強力なので、室内外どちらでも下に何か敷いて行ったほうがよいですね。もちろん、フレームやタイヤに付着したらすぐに拭いてください。溶剤なので、放置すると素材を痛めてしまいます。
アティックでは、洗車の時のチェーンクリーニングは、ゴム製品も痛めずにディグリーザーに匹敵するほど強力なクリーナーを利用していますので、ご心配な方はこちらの洗車クリーニングをご利用ください。
注油の実践丸秘テクニック
クリーニングが先で注油が後なので話が前後しますが、共通する作業方法の仕方について触れるので、先に注油について書いていきます。
まず、チェーンの位置は、フロントがアウター、リアはセカンドギア。ホイールからチェーンをできるだけ離した位置で、テンションプーリーの右側あたりで行います。
なぜセカンドギアかというと、トップギアだと注油で逆回転させる時にチェーンラインの関係からフロント側が外れる危険性が高いので、セカンドギアのほうが安心なのです。フロントが外れるとクランクが傷つく可能性も高い。
そして、なぜ注油ではチェーンを正回転で回さないのか、それは経験ない人はやってみればわかります。大変作業しづらいのです。
このように、ギアがアウターセカンドだとクランク3回転でチェーンが1周しますので、注し終わったら、数回逆回転させてローラーの中にオイルを馴染ませたら外側のオイルは全部拭き取ります。注し方は各自ご自由に。
チェーンにオイルを注す時に1リンクづつ注油する方もいらっしゃるようですね。110前後のリンク1個1個に注すのはかなり時間が掛かると思います。店長はローラーの外側寄りにクランク3回転分一気に注して、注し終えたらさらに5~6回くらい回してローラー内のブッシュにも十分浸透させてからチェーンに付着しているオイルを拭き取っています。
オイルの粘度にもよるけれども、粘度の低いロードバイク用のオイルの場合は、この作業をしておかないと走行中にチェーン内部に浸透したオイルが外に出てきて余分な油分となってしまい、砂埃とか付いてこれもチェーン汚れの原因となります。拭き取り作業は必ず行いましょう。
粘度の低いオイルは拭き取らないまま走行すると、チェーンだけでなくギアも油汚れで汚くなってくると思います。もちろん使用できる期間も縮まることに。
ちなみに、チェーンに油を注す時に、このブログでも何度か登場してるので知っている人は知っていると思いますがKURE 556だけは絶対に使わないでください。556は中途半端な潤滑剤、石油系の溶剤が添加されているから使い続けると大変なことになります。美容師さんがハサミに使っていたらそのハサミが切れなくなったとか。
556は粒子が細かく汚れやすい性質もありますが、汚れを放置すると石油が乾燥して次第に噴霧した表面にこびり付きます。こびり付いた汚れは簡単には落とせなくなってしまいます。ロードバイクに556は絶対に×。というか自転車には基本的に×。一般車では何も知らずに使っている人が多く、その自転車は真っ黒でとてもかわいそう。
チェーンのクリーニング実践編
話しを戻して、注油の前のクリーニング。チェーンをクリーニングする時は、チェーンだけでなくプーリーも一緒にきれいにしてあげてください。クリーニングの時に使うウエスは、タオルとか使わなくなったTシャツとか、綿製品だったらなんでもよいです。
クリーニングは、注油の時と同じくテンションプーリーの右側あたりでディグリーザーを噴霧させながらチェーンを1周逆回転。クリーニングのときは1周そのまま回し続けるのではなく、プーリーからフロントギアまでの間で、ウエスをチェーンの下に当ててディグリーザーの動きに合わせてウエスを同時に移動し、終わったら数回チェーンをゴシゴシ拭いてその繰り返しです。
クランク3回転でチェーンが1周しますので、1周し終わったらガーッとさらに数周まわしてチェーンをウエスで直接つかんで溶剤で分解した油汚れを拭き取ります。その時に、プーリー自体も上下とも歯先を直接つまんで付着した汚れを落とします。ロードバイクではめったにないでしょうが、プーリーも固化した汚れが溜まるとチェーンが浮いて歯飛びの原因になるので気をつけましょう。
そして、次にウエスの汚れていないところを使って同じ作業を繰り返します。チェーンをきれいにするためにはこれも必須。このあと、できるなら水に濡らして絞った別のウエスで拭き取ることをおすすめします。ディグリーザーは水で希釈されるため、ディグリーザーで分解された油汚れが濡れたウエスに吸収されてチェーン全体がさらにきれいになります。文章で書くと面倒そうだけど作業はいたって簡単です。
チェーンがあまりに汚れている場合は、ディグリーザーで油を分解させてもまだ細かい砂粒とか付着していて、クリーニング後もゴリゴリする時があるので、その場合はパーツクリーナーをチェーンに吹き付けて噴射の勢いで落としてください。それでも解消しなかったらアティックまで。洗車でほぼ完璧に解決します。
チェーンメンテナンスの作業頻度は
さて、いかがだったでしょうか。作業の仕方を具体的にご説明しましたが、以上がチェーンメンテナンスの作業方法となります。これできれいな状態で乗れること間違いなし。そのうち油が切れてきてローラーがピカピカ状態になったら、その時にまたチェーンをメンテナンスしてあげてください。ローラーからいつまで経っても油がなくならないようだったら、そのチェーンはオイルの注し過ぎです。
チェーンのクリーニングは、定期的にメンテナンスしていれば毎回は必要なく数回に1回でよいでしょう。先ほどの作業方法のとおりに行なうのが面倒くさい場合や、手軽にもっとチェーンをきれいにしたい時はチェーンのクリーニングツールが便利かもしれません。お買上げの方には使用方法を詳しくご説明します。
もし雨天走行になってしまった場合はできるだけ早くメンテナンスしたほうがよいですね。疲れている時は当日は嫌でしょうが遅くとも翌日までには行ってください。雨に濡れたチェーンは翌日には錆が発生し、遅くなればなるほど取れにくくなります。
それと、駆動系のメンテナンスでチェーンのクリーニングと同じくらい大事なのがギアのクリーニング。汚れの程度次第ですが、チェーンだけきれいにしてもギアの汚れがひどければ、せっかくクリーニングしたチェーンが汚れやすくなり、メンテナンスの作業頻度も多くなってしまいます。
チェーンのクリーニングは割りと簡単ですが、カセットスプロケットやフロントギアをきれいにするのはけっこう手間が掛かる作業ですから、駆動系全体をきれいにしたかったら、洗車を請け負っているところに頼んだほうがよいかもしれません。(ギアの汚れ落としは撥ねたりして衣服に付いたりするのでそれを避けたい場合も)
業者に洗車を依頼する場合は、定期的なメンテナンスは自分でやって、半年に1回とかのペースで一旦汚れを全部落として新品状態にリセットするような気持ちでバイクを使うと、確実に機材の寿命も長くなるのではないかと思います。きれいなバイクはモチベーションもアップ!