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買取りロードバイクで変速がもたついていた2つの原因とは?

2021年01月31日

自転車修理

買取りロードバイクで変速がもたついていた2つの原因とは?

今年の冬は、いつもの年より中古ロードバイクが好調です。お陰さまで2021年は幸先の良いスタートを切らせてもらって、今週も3台ご購入いただき北海道の自転車屋にとってはとても感謝な日々です。ありがとうございます!

中古のロードバイクは買取りのほうも好調です。お陰で前回ご紹介していた買取実績の新規コンテンツも、モチベーションが上がって一気に作りあげることができました。

買取バイクが増えていくことは嬉しい限り。ただ、買取りしたバイクの中には、あとから不調に気付いたりするケースもあったりして、今回も、買取りの時に、不具合とまでは呼べないけれども変速にちょっとモタツキ感を感じるバイクが2台ありました。

2台ともかなり程度の良い極上車、調整で簡単に直るだろうと思っていたのが、その変速の不調は整備の不備とは関係がなかった。問題はとうに解決していて売却済みとなっているバイクですが、その原因となったことをご紹介し、今後のためにも解決策を共有したいと思います。

ケーブルの取り回し方法が原因していたフロントディレイラーの操作感

まず、最初の1台はインナーケーブルのルーティングが原因でした。フロントディレイラー(以下、FD)をシフトした時に、105でまだそれほど使っていないバイクなのに変速操作に違和感がありました。変速自体には支障がないものの、なんとなく重い。そう、トップの写真を見れば一目瞭然。ケーブルの取り回しが間違っています。

査定の時になんで気付かなかったのと深掘りされそうですが、おっしゃるとおり。でも、査定中のお客様を出来るだけ待たせることなく、短時間にバイクの状態をすべて確認するのは至難の業。宅配買取のように時間を掛けてつぶさに確認できる状況とは違います。

必然的にこれまでの経験で、どこにキズが多いか、不具合の症状が起こっているかなど、そこを重点的に見るわけですね。

ところが今回はまったく初めてのことで、カーボンバイクのFDケーブル内装式なのにパイプ内を通さないルーティングなんて今まで見たことなかったし、しかもお話を聞いてるとショップで組んだバイクのようだったし、もちろん最初にそんな想定もしていないので見落としてしまったわけです。

とにかくビックリしました。あまり乗られていないバイクだったからよかったけれども、このまま使い続ければフレームにケーブル跡ができて大変なことになるところでした。

フレームごとのケーブルルーティングについて

買取りロードバイクで変速がもたついていた2つの原因とは?

シフト用インナーケーブルのルーティングは、カーボンフレームでも、今回のようにハンガーシェルの外を通すやり方と、内装式でシェル内を通す仕方の2通りの仕様があります。

内装式でも、ハンガー接合部から一旦ケーブルを外に出すフレームは、今回と同じくケーブルガイドを使いますが、リアディレイラー側のケーブルまで内装にしている場合は、前後ともハンガーシェル内をルーティングしたあとにカバーで蓋をするのが一般的。(上の写真はカバーを外している状態)

なので、フル内装はフレーム内を通るケーブルは外から一切見えず、シェルの外を通さないためこういうトラブルは起きませんが、ハンガーの外側をルーティングしている仕様のバイクは気をつけたほうがよいですね。(滅多にあることではないですが・・)

カーボンで同じ仕様のバイクに乗っていてシフトが重いなあという場合は、一度確認したほうがよいかもしれません。

今回のようにトラブルの原因がはっきりしている場合はすぐに対応できるので安心ですが、もしフル内装だった場合にシフトが重く感じるときは原因は別にあるので調べないといけませんね。

さらに驚きのルーティングが判明

買取りロードバイクで変速がもたついていた2つの原因とは?

今回は、この状態では正常な操作感は期待できないので、再セッティングしようとバイクをひっくり返したところ、なんとなんと、ケーブルが途中でガイドから外れていました。これは重くなるはずだ。しかもこのガイドはこのフレームに付属されている専用のケーブルガイドではないようです。

このままでは長すぎて使えない。もしかしたら、取り付けたあとに長いからケーブルをフレームのリード穴に通さずそのままダイレクトにFDに装着したのだろうか。そしてプレート位置を調整する時にケーブルを緩めた拍子に途中から外れてしまったのかな?

推測ですが、とりあえずこの長さでは使えないから一旦外してカットしたあと再セットしました。

セットする前に、寸法的にシマノのガイドが使えるかと試してみたのだけれども、形状が違うのでやめました。ボルト止めだから無理やり装着できなくもないけど、シェルのボリュームが大きく形が違うため、ねじ山にも負担が掛かるので無理は禁物。

今回の作業で一番心配だったのが、先端を切ったインナーケーブルがスムーズにフレームを通ってくれるかどうか、そこが一番気掛かりでした。

このフレームにはケーブルライナーは装着されていないため、切断したケーブルの先端がフレームの中で引っ掛かると、そこで先端がほつれてそれ以上先に通すことができない可能性もあるためです。

バイクを組むときインナーケーブルにキャップを装着する際は、抜けにくいように通常はつぶして取り付けるんですが、つぶすとキャップを外した時にその部分はどうしてもばらけます。なので、今回のような場合は最初からキャップごとカットしてしまいます。

先っちょがほつれるのを防ぐためには、カットしたあと先っちょを半田で固定してしまう手もあるけど始めからそこまで手は掛けたくないので、それは最終手段。

インナーケーブルキャップの重要性

買取りロードバイクで変速がもたついていた2つの原因とは?

結局、心配していたことも杞憂に終わり、無事にケーブルがセットでき正常な変速も確認できてまずはひと安心。

今回はFDのインナー固定ボルトからの出代が長かったからこのように対応できましたが、短かったら危なかったですね。その場合は新品ケーブルに交換となります。

インナーの出代部分を確保しておくのはけっこう大事。キャップが取れて先っちょがほつれてばらばらになっているケースもありますが、その場合も新品ケーブルへの交換です。

中にはばらばらになったインナーが1本づつ折損してすべてなくなっているバイクも見掛けます。こうなると、通常のシフト調整でケーブルを一旦外して再調整が必要な場合は作業ができないので、その時も交換になりますね。

キャップは小さい部品ですが、無くなってしまうと調整作業が高く付いてしまいかねない大事な部品。つぶしが甘いと、知らないうちにポロッと取れてしまったりもするので気をつけましょう。気付いたらすぐに再装着してください。

チェーンオイルが原因だった変速のもたつき感

買取りロードバイクで変速がもたついていた2つの原因とは?

2台目は、リア側で起こっていた変速の不調。変速はするけどレスポンスが悪い。シフトレバーをカチッと操作しても・・・チェーンの移動はモタモタ、またカチッ・・・モタモタみたいな感じ。変速のたびにスパンスパンと決まらない。

これも調整で直る症状ではなかったです。原因はチェーンオイル。おそらく使われているのはバイクのチェーンオイルで、バイクはバイクでも自転車ではなくオートバイのほう。

写真の状態でもわかるとおり、粘着性のあるオイルが付着しているため、チェーンがギアを移動する時にスムーズに動かず変速のレスポンスが悪かったんですね。

店長も一時期自転車を降りてオートバイに乗っていた時に、グリースタイプのチェーンオイルを使ってましたが、このバイクに塗布されているのも同じタイプのオイルだと思います。

これでは正常な変速にはほど遠いので、こちらの不調はチェーン交換で対応。フロントギアの歯先にもこびり付いていました。

もちろんこれもきれいに拭き取ってから、別のチェーンに交換です。交換後は正常に戻って、気持ちよいほどスパンスパンと変速します。

今回の症状は、クランクを手で回していた時に、何か抵抗があるように感じて通常より回転も重く感じました。そこで、BBの回転が重いのか確認しようとチェーンを外した時に、グリースタイプのチェーンオイルが使われているとわかったんですね。

このようにチェーンを間近で見ると粘度の高いオイルだということがわかりますが、装着状態では気付きませんでした。最初のうちは、チェーンは錆びているわけではないからどうしてこんなに変速のレスポンスが悪いのだろうと不思議に思ってました。ネチネチしたチェーンの状態に気付かなければ解決しなかったのでほんとによかった。

チェーン切れのトラブル防止にも役立つコネクトピンでのチェーン連結

買取りロードバイクで変速がもたついていた2つの原因とは?

このバイクにはミッシングリンクのチェーンが使われていました。今回はこれをやめてコネクトピンで連結。もちろんチェーンはシマノ、KMCのミッシングリンクはシマノにも使えます。でも店長は使いません。

以前、チーム活動していた頃に、走っている途中でチーム員がチェーンを切ってしまったことがありました。正確にはジョイントのプレートが外れたのが原因ですが、使っていたチェーンのジョイントはミッシングリンク。

どういう変速をした時に切れてしまったのか、その時はジョイントを血眼になって探していたので聞かず仕舞いだったけれども、おそらくフロントアウターでロー側に変速した時のよじれ方によっては外れてしまうこともあるのだと思います。

このミッシングリンクなど、コネクトリンクを使っているチェーンは、いつもきれいに使いたい方にとっては簡単に外せるので確かに便利ですが、こういうこともあるのでお気をつけください。

フィッティングで変速方法についてご説明する際に、アウターローでのギアを説明しているときチェーンがローギアから離れる部分を見るとかなりの角度です。これを見てると、コネクトリンクはやっぱり外れる危険性もあるのだろうなあと不安を持ちますね。

アウターローの使い方は、ロードバイクでは一般的にはご法度、その組み合わせは使わないほうがよいですね。コネクトピンのチェーンだったら一時的にはOK。上りでフロントアウターのまま上りたい時は使ったりします。それ以外はやめておいたほうが無難です。

もちろんこういうアクシデントはチェーンの消耗度合いによっても左右されるでしょうが、先ほどのトラブルを目の当たりにしてからは、チェーンはもしもの時のためにもコネクトピンで繋ぐのが一番安心だと思っております。

そのチーム員は結局家族に迎えに来てもらって帰宅しましたが、後日、あれだけみんなで散々辺りを探しても見つからなかったジョイントは、なんとクランクのケイデンス用マグネットにくっ付いていたそうです。そんなこともあるんですねえ。

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