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歯飛びにつながっていたカセットスプロケットのイレギュラーな組み合わせ

2021年12月19日

機材情報

歯飛びにつながっていたカセットスプロケットのイレギュラーな組み合わせ

買取りバイクでチェーンがガチャガチャ歯飛びするので何が原因か調べてみると、こんな些細なことで起きていたとは。イレギュラーな組み合わせだったので、これは想定外のトラブル。

今回起こっていた歯飛びの原因は、一度経験すればすぐにわかることだけれども、これは初めてだったのですぐに特定することができず、気付くまでずいぶん時間が掛かってしまった。原因はのちほど。

歯飛びとは

歯飛びにつながっていたカセットスプロケットのイレギュラーな組み合わせ

歯飛びと聞いても、経験のない方は何のことかわからないかもしれません。歯飛びとは、チェーンのローラーがギアに嵌る時に滑ってしまい、ギアがしっかりチェーンをキャッチできずにそのギアを飛び越えて次のギアに移ってしまう現象です。

ほとんどがギアの摩耗が原因で、歯先が削れて起こることが多いですね。ノーメンテナンスでギアが汚れた状態で同じギアばかり使っていると起こりやすくなります。街乗りで乗られているバイクでは歯先が剣先のように尖っている状態も時折みかけます。

買取の査定が始まりギアチェンジを確認するためクランクを回した時に、何やらガチャガチャと激しい音鳴りがするのでチェーンの状態を見ていると、その音鳴りの原因はやっぱり歯飛びでした。でも、今回は歯先は特に問題なし。

ちなみに、歯飛びのバイクであっても、買取りができる外観と状態であれば、査定には影響しますがとりあえず買取りはしています。

歯飛びとなった原因を探る

歯飛びにつながっていたカセットスプロケットのイレギュラーな組み合わせ

乗車しない状態での歯飛びは初めてです。どうして歯飛びが起こっているか、まずはその原因を特定しなければなりません。

そこで、検証1つめ。チェーンのオイルが切れて動きも渋いため、これが原因しているかもしれないので注油して様子を見ることにする。注油後、チェーンはスムーズに動くようにはなったが依然として状況は変わらず。

2つめ。次に、リアディレイラーのテンションプーリーに掛かるチェーンの位置を確認したところローラーに接するプーリーの位置が微妙に内側にずれている。

これはおそらくエンドハンガーの歪みが原因だろうと修正工具でハンガーの角度をチェックしてみると、案の定、少し歪んでいた。進行方向側が6.5mm内側に歪んでいるのをとりあえず出来る範囲で修正することにする。リプレイスハンガーで、しかも固定力が2点止めより弱い1点止めなので慎重に作業する。

エンドの修正は歪みの程度次第だがこのくらいのずれなら大丈夫だろうと判断して今回は修正を決行。慎重に慎重に。(写真ではまだ装着してないけどこの作業はバイスでの固定が必須です)

結果、エンドハンガーを修正すれば直るはずと思ってリプレイスでも敢えてトライしてみたわけですが、残念、これでもガチャガチャは直らなかった。

歯飛びを発生させていた意外な原因

歯飛びにつながっていたカセットスプロケットのイレギュラーな組み合わせ

フレームから測定用の治具にしているホイールを外し、元のホイールを装着しようと手に取った時です。ん? ロックリングに目が行きました。トップギアは11Tなのに、ロックリングが何だか通常よりも大きいような気がする。

ご存じない方もいるかもしれません。シマノのカセットギアに装着されるロックリングには、トップギアの歯数で使い分ける11T用と12T以上の2種類があります。

外径をそれぞれ実測してみました。11T用は35.4mm、12T以上は38mm。その差2.6mm。少し大きく感じられるこのホイールに装着されている外径を測ったら、やっぱりこれは12T以上で使うロックリング。11Tのトップギアに間違って装着されていました。

シフトチェンジで確認してみると、やはり歯飛びはトップギアの時だけ起きている。チェーンがギアに嵌る時にロックリングの端にあたって浮いてしまうことでこの歯飛びになっていたんですね。これまで使っていた方はトップギアは使用しなかったのかな?

ともあれ、原因がわかって何より。想定外のトラブルだった今回は、異音とかこれまで変速不良となっていた原因と照らし合わせて検証していたので、解決するまでずいぶん遠回りになってしまった。

そして最初からトップギアだけでなくシフトダウンさせて変速操作していればその時点で気付いたのに、余計な手間を掛けてしまった。でも原因が特定できてひと安心。今度からは、歯飛びに遭遇した場合は目視で歯先に問題ないようなら、まず始めにロックリングを確認することにしよう。後学のためにはよい勉強になりました。

想定内のトラブルと、もうひとつの想定外トラブル

歯飛びにつながっていたカセットスプロケットのイレギュラーな組み合わせ

歯飛びに関して、ちょっとご参考まで。(営業中の実例で、店長の心情も入って恐縮ですが…)

ロックリングが原因となるようなイレギュラーなトラブルは別としても、スプロケットの磨耗から起こる歯飛びと、変速トラブルや異音については、バイクの状態によっては外観からその原因を事前に特定できることも多いです。いわばバイクを見た時に判断できる想定内のトラブル。

お持ち込みの修理でこういうことがありました。変な音がするというので確認したら、チェーンがとうに使用限界を超えている。それに端を発してその通勤バイクは、修理前から発生していた異音だけにとどまらず、修理後、まったく予期していなかった歯飛びを起こすことになってしまう。

そのバイクは新しいチェーンに交換し、作業台で異音も消えているのでこれで大丈夫と安心したのも束の間。また来店されて、まともに走れないというから実走で確認したところ、今度は歯飛びが起こっていました。

先ほどのイレギュラーな歯飛びと違い、走行中の歯飛びはギアに強い力が掛からないと発生しません。ペダルを踏むごとにギアを1枚飛び越えて、力が加わるたびに次のギアへとチェーンが滑っていくわけですね。

通勤で使用する時にいつもトップから4枚目だけで使っていたようです。写真を見るとすでに歯先もなくなっている。剣先のような状態。チェーンが伸びたまま乗り続けたからギアがどんどん削れてしまったようす。

非常にめずらしいケースでしたが、写真の新品チェーンに換えたことでチェーンとギアの相性が悪くなり歯飛びを起こしたようです。交換するまでのチェーンは、伸びて生じたガタツキが逆に剣先ギアとの滑りを抑える働きをしていたのでしょう。

しかしこれでは使えないため、ギアの交換が必要ですが、ところがまさかそのことが別のトラブルに発展するとは、思いもよらないことでした。

異音が原因していた、想定外の修理トラブル

今回の想定外トラブル、トラブルはトラブルでも機材的なトラブルではなく、そしてお客様と口論等のトラブルになったわけでもなく、なんというか、私の中では正常に修理が完了していなければその作業は修理トラブルという認識です。

この症状に、ご年配のお客様は、何度説明しても一向に納得せず、換えたチェーンがおかしいだとか、今まではこんなことはなかったの一点張り。このギアは摩耗していて使えないから他のギアで使用してくださいと説明しても、まったく受け入れてもらえない。ギアの摩耗がこの状況になっているのを理解しているのかしていないのか、とにかく先に進めない。

埒が明かないから、「では元のチェーンに戻しましょうか」と伝えてそれを承諾されたので元の古いチェーンに戻すという苦肉の対応策を取りました。

戻したからには前回のチェーン交換に伴う修理費用は全額その場で返金。交換の時にピンを抜いたアウターリンクはこの伸び方では使えないから5リンク分を新しく交換し、それに伴う装着コネクトピン2本もこちらで負担。何だか釈然としない作業だった。その後は来られないから、剣先ギアのそのバイクがその後どうなったかは知らない。

何事も経験ですが、こちらの正常な説明が受け入れられず反論されたのは初めてのこと。クロスバイクを無変速で使うというのもそうそうないと思いますが、これからは経験を生かして状態をよく見て判断し、作業の前に、想定される状況をよく説明してから行わなければならないと、今後のために勉強となった修理作業でした。でもこんなトラブルは嫌だな。

ロードバイクの歯飛びをスプロケット交換で解決

歯飛びにつながっていたカセットスプロケットのイレギュラーな組み合わせ

その後、数か月経ってロードバイクで同じ症状の持ち込み修理がありました。この時も同じように説明して、もちろんロードバイクに乗っている方には原因をご理解いただけるのでスプロケット交換で即解決。

小樽の方で途中で歯飛びが起こってしまったようですが、遠方だしお住まいの近くで対応できなければこのままの状態ではチト大変。私も嬉しくお客様にも喜んでいただけて、その修理はとても気持ちよく作業を終えることができました。ほんとに良かった。

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