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ペダルが固着する原因を考えてみる
前回のペダルの固着に続いて、ペダルが外れなくなる現象についてです。ペダルがなぜ固着してしまうのか、今後の防止策としてその原因を探ってみましょう。独断的な見解なのであくまで参考として捉えてくださればと思います。
ペダル固着の私的見解
ペダルが固着しているバイクを見ると、バイクの年式や装着部品のグレードから判断して、これまでの経験では大きく分けて二通りのケースがあると思います。一つは使用年数が長いバイクで固着しているケースと、もう一つは使い始めてから数年とか短い期間のうちに固着してしまうケース。
前者はグリスの潤滑効果が落ちて(もしくは塗布していない状態で)経年作用で異種金属同士が結合してしまう金属由来の性質からくる電食が大きく原因しているのではないかと思われます。この現象はガルバニック腐食ともいうようです。他方、単純に、TAバイクのように海水でアルミが腐食して膨張したことで固着している場合もあるでしょう。もちろん腐食だけではなく錆も原因のひとつ。
後者はいろいろ考えられるので、短期間で発生する原因をより詳しく知るためにネットでも調べて整理してみました。以下のとおり。
① チタンやステンレスの固着は焼きつき、いわゆる「かじり」という現象が代表的です。ググってみると、ねじ山の摩擦熱が原因でこれらの材質はねじ山が溶着しやすいんだそうです。特にチタンのペダルは締め過ぎるとこの現象が顕著です。
② 高温の環境下で使用している場合は、クロモリなど鉄鋼製のねじでも、「摩擦係数」とか「熱伝導率」とか「熱膨張係数」とかが関係して焼きつきにつながることもあるようです。この数値が大きいとか小さいとかで、雄ネジと雌ネジが密着しやすくなるそうですが、数値変動が要因するこれら3つの用語はそれ以上調べていないので詳細は不明。
車庫とか日当たりのよい玄関など高温になる環境で保管している場合は、クロモリシャフトでも固着してしまうかもしれません。特に摩擦係数を下げる表面処理(メッキ)が施されていないシャフトは要注意。
③ メッキしていないシャフトの場合で、単なる締め過ぎが大きく関係している場合に、締めつけトルクが大きすぎることで、ねじ山の表面が荒らされて微小な金属片あるいは金属粉が原因で融着して固着が起こることもあるようです。
前回の固着を解決できたのは、③のケースで融着した雄ネジと雌ネジに潤滑剤が浸透したことで融着が解かれやすくなって外せたのかもしれません。推測だけど…。
ペダルを固着させないための一つの考え方
上記以外にも、仮に同じペダルを同じトルクで締めたとしても、走行距離やアップダウンがあるなしの走行コースによる走り方のスタイルや多用する使用ギア、またライダーのペダリングパワーによっても、長年のそれら環境の積み重ねによって固着する場合とそうでない場合があるでしょう。
もちろん、前述した前者と後者が相互に作用している場合もあるかと思います。一番の予防策は、適切なトルクで締めて締め過ぎに注意すること。そして、1年に一回とか定期的に固着していないかどうかを点検しておくこと。チタンシャフトなどかなり固い場合でも、1年以内だったら問題なく外せるケースが多いと感じます。
固着が心配な方は参考にしてみてください。もしできるだけ固着させたくないという場合は、金属被覆など表面処理加工(メッキ等)が施されたペダルがよいと思います。価格は上がりますけどね。
以上の点に注意して、絶対的な解決策ではないけど、シャフトの材質に適したグリスを適正な量で塗布して、適切なトルクで装着するなら大方の固着は防げるのではないかと思われます。ペダルの固着は誰でも嫌ですよね。