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ロードバイクのトラブル事例5選

2022年05月22日

自転車修理

ロードバイクのトラブル事例5選

アティックには様々な修理が持ち込まれますが、中にはビックリするようなトラブルもあって、今回は買取りバイクで発生していた事例も交えていくつかご紹介します。

店長も初めて経験するトラブルもありましたが、もしも同じ状況に出くわした時に少しでも参考にして頂けたら嬉しく思います。

カセットフリーの回転不良とシフト不良が生じていたロードバイク

ロードバイクのトラブル事例5選

後輪が浮いている状態で、ペダルの回転を途中で止めるとどうなるでしょう。通常はフリーボディが空回りとなるので何事もなくただラチェット音が響くだけですね。今回のバイクはフリーボディの回転が止まらずホイールと一緒に回り続けようとしていました。

これはカセットボディのフリー機能が働かない状態。手でギアを空転させようと力を加えても、まるで固定ギアのようにガキっと止まって動かない。長期間外に出しっぱなしにしていたようで、ボディ内の爪が固着して戻らなくなっているんですね。

こうなると走行中は固定ギアのように踏みっぱなしとなり足を止めることが出来なくなってしまいます。ロードバイクが多段式ピストバイクの状態に。

それでは困るので、とりあえず洗車してきれいにしてからラスペネを注して潤滑剤が浸透したあとに力技で直しました。潤滑剤を使わないと、あとあと再現される可能性もあるからこういう場合は必須です。あとは定期的に使い続ければ問題なし。使わない時は乗らなくてもペダルだけ回して空回りさせておけば大丈夫。

これほどひどくはないけど、似たような症状で、自転車のチェーンにオートバイ用の高粘度のオイルを使った場合もチェーンがギアと一緒に回り続ける現象が発生する場合があります。

オートバイ用のオイルを塗布したチェーンのローラーはこんな↓感じ。

オートバイ用のオイルで固くなったチェーンは滑らかさが失われ、自転車ではとてもまともには使えません。

どちらが原因となっているか、見分ける方法は、フリーギアのラチェットが機能するかどうか。これで簡単に判断できます。最近も買取りしたバイクで生じていました。走行距離74kmでほとんど乗っていないのに長期保管でチェーンに影響が出たのでしょう。

これまでも数件あって、どのバイクもチェーンが固くなっている状態。グリス以上に粘着のあるねとっとしたオイルは1回触ると拭き取るのも大変。もしチェーンメンテナンスの時に前述のような症状があるとか、走行中にペダルを止めると引っ掛かりを感じるという場合は、チェーンオイルが原因ならこちらの洗車メンテナンスで改善するかもしれません。

オートバイ用のオイルが塗布されたチェーンはフロントギアにも付着してしまいますが、そのまま放置しておくとこの汚れは固まってしまうと除去するのが難しい場合もあります。

洗車ではチェーンとギアを必ず強力クリーナーで洗浄しますから、まだ汚れが固着していなければ歯先の間まできれいになります。自分のバイクも先ほどの症状が出ていて気になるという方はご一考ください。

屋外に置いているバイクに発生しやすいトラブル

ロードバイクのトラブル事例5選

屋外保管のバイクは要注意。今回のバイクは、カセットフリーの回転不良だけに留まらず、シフトのほうにも不具合が発生していました。屋外保管の場合は屋根付きの駐輪場でも外に出しっぱなしだと雨でいろいろ悪影響が出てしまいますね。

とりあえず直して正常に使えるようになったので、その修理内容を見ていきましょう。結局シフト不良だけで収まらず、さらなる問題発見で今回もまあまあ大変だった。

まずはシフトの不具合です。

シフト不具合はフロント側で、変速はするけどインナーからアウターへの変速が重くて、変速後に「ガキッ」という感触がある状態。ディレイラーが原因だと思ってラスペネを注すも症状は変わらず。ケーブルを緩めてレバーの動きを確認するがレバーも問題なし。あとは考えられる原因はワイヤーの腐食かサビているか。インナーケーブルだけ交換して様子をみることにする。

GIANTのバイクでヘッドにケーブル挿入口があるフレームのインナー交換は初めてだったので、ダウンチューブ内を入口からBBまでライナーが通っているかわからないため、BBのワイヤーリードを外して確認してみる。

BBのワイヤーリードを外してライナーへの圧迫を取り除いてライナーを自由に動かせるようになったことで、ケーブル挿入口からアウターを外しここまでライナーが通っていることが確認できた。作業的にはこれで少しは楽になる。

アウターの先端を確認したところ、アジャスター側で、被覆しているビニールが縮んで露出している鋼線が錆びていた。「ガキッ」の原因はこれかもしれない。ワイヤーは外も内も錆びるともちろん抵抗は大きくなります。細いシフトワイヤーはなおさらです。

錆びてる側のアウターも交換して、アジャスターのカップもサビ取りクリームでサビを取り除いてきれいにしてからケーブルを再セット。これで変速不良は解消した。シフトの重さもガキッという感触もすべて解決。ケーブルをセットする時にアウター内にシリコンルブリカントを注してインナーの抵抗をさらに軽くしておく。

フリーギアも解決し、ディレイラーの変速もスムーズに動くようになって安心するも、今度はゴリゴリ感が現れた。原因はボトムブラケット。もちろん急に発生したわけではなく、これまで2つの不具合な感覚でただ気付かなかっただけです。

メーカー不明のBBが付いていたので手持ちのシマノに交換。スクエアテーパーのシャフトはメーカーでテーパー箇所の角度が変わる場合もあって、もし角度違いの場合は、ギアクランクの装着位置が変わることからディレイラーの可動域に影響が出てしまうとまずいが今回は大丈夫だった。

装着されていたBBは手で回すとかなりの抵抗を感じる。走行中にゴリゴリした感触があるかどうかはわからないけれども、快適に乗るためにもこういう場合は交換がベストでしょう。

ホイールからクイックシャフトが抜けなくなった原因

ロードバイクのトラブル事例5選

買取りバイクで微妙に振れが出ていたバイクがあって、このままでも問題はないけど気になるので振れを取るためシャフトを抜こうとしたら、途中でつっかえて出てこないケースがありました。

こういう場合、考えられるのは落車のアクシデントによる影響。右側に倒れた時にシャフトのナットが削れているバイクを見掛けます。クイックシャフトがハブの中空シャフトの中を通らないほど曲がってしまうと修正しないと抜けません。

でもシャフトをぐるりと回して確認しても、どうも曲がっている様子はありません。おかしいと思ってさらに観察を続けるうち原因がわかりました。このシャフトは軽量化させるために内側が削られて平たくなっている。この形状のためにつる巻バネの先端が中空シャフトの中に入ってしまい、そこで抵抗になって抜けなかったのです。

非常にめずらしいケース。こんなこともあるんですね。とりあえずシャフトを抜かないと何もできないのでレバーを持って何度か試したけどいくら引っ張っても取り出せない。

シャフトを押して戻したら干渉しているところが緩むかと思ったらそれも駄目だった。押しても駄目、引いても駄目。仕方なくつる巻バネを犠牲にして力業で取り出しました。

軽量化といっても1本50g程度のクイックシャフトからどの程度軽量化できるかわかりませんが、このようにトラブルが起きた場合に代償が大きすぎると思います。軽量化によってシャフトが薄くなれば固定力も落ちるでしょう。

出先でこういう状況になったら大変です。バイクをキャリアに積むためにホイールが外せなかったら積載できないですね。今回は手で抜くのは到底無理だったのでペンチで引っこ抜きましたが出先で工具がなかったらお手上げ。

本来中空シャフトの中につる巻バネは入り込まないものですが、平べったい箇所がシャフトの中から外に出たタイミングでバネがガタつく状況で、平べったいところとバネが一緒に中空シャフトの中に入って挟まってしまったのでしょう。こういうクイックシャフトを使う場合はいつも出掛ける前に正常に外れるか確認しておきたいですね。

バックスティのエンド固定ボルトが原因で変速不良を起こしていたバイク

ロードバイクのトラブル事例5選

以前、「ローラー台トレーニングで致命的なアクシデントとならないように気を付けておきたい注意点」というブログ記事で、エンドハンガーが壊れてしまったアクシデントについて書きました。

その記事では最後のほうで、「ハンガーが繋がる箇所が接合されているような仕様にもみえるので、そこを取り外してハンガー側を交換できないのだろうか」ということを書きました。カーボンスティにアルミのエンドをボルト止めしているためです。結果的には交換はできない仕様のようです。

接合自体は樹脂の接着剤などでも固定されていて交換はできないのでしょうが、固定には一応ボルトも使われています。今回のトラブル発見までは、まさかこのボルトが外れることはないだろうと思っていました。

でも、緩んで外れることもあるんですね。買取りしたバイクの一台が、なんと、ここのボルトがなべネジに交換されていた。これはショック。気付いた時は一瞬目を疑った。

査定の時は変速不良を起こしていてトップギアに入らずチェーンはセカンドギアまでだったため、その位置はよく見えなかったので気付かなかったのです。(あ、だから、なべネジが出っ張ってぶつかるからトップに入らないようにしておいたのか?)

ここだけ凝視していたらすぐに気付いただろうけど想定外なのでまったくわからなかったです。変速を調整しようとした時にネジの先っちょが突き出ていたことであとから気付きました。

こんなこともあるんですね。同じ仕様のバイクにお乗りの方はご注意ください。ボルトが緩んでいないかどうか、ディレイラーハンガーと一緒にここもたまに確認したほうがよいようです。

今回は、形状が同じボルトが手持ちで在庫あったので、ロックタイトのねじロックで装着して無事解決。

ねじロックを使うと数日間は動くけど、一定期間が過ぎると外すことができなくなるほど強力に固定されるためこういうケース以外では使いません。

ねじロックは手組みで組むホイールの時にスポークの緩み防止のために用意しましたが、結局、ホイールを組む時にはねじロックは使わずホイールスミスのスポークプレップを塗布させていました。

スポークプレップは緩み防止というよりも、どちらかというとスポークテンションを上げやすいようにスポークの潤滑剤としての効用が強いと思います。でも、これももう10年以上使っていない。手組のホイールは現在は一般車でたまに組むくらいでロードバイクではめっきり減りました。特殊な組み方は、もしかしたらやり方を忘れているかもしれないな。

最近頻発しているディレイラーハンガーの毀損トラブル

ロードバイクのトラブル事例5選

引き続き、リアエンドのディレイラーハンガーのトラブルについて。

今回もローラー台絡みのアクシデントに起因して生じたトラブルとなりますが、乗車中にバキッという音がして、それ以来ホイールが外せなくなったということでご相談を受けたバイクでした。

エンドハンガーを確認したところ、後方から見ると完全に曲がっていて、外したハンガーは曲がったことで割れてしまったところに隙間も見えます。

乗車中の状況がトレーニング中のことなのか、トレーニングが終わってバイクから降りようとした時かはわかりません。もっと詳しく聞いておけばよかった。

いずれにしてもこうなると、この状態ではバイクは一切使えません。結局、今回は別のバイクに乗り換えることにされて、こちらのバイクは下取りで買取りすることに。アティックでも取り扱っているメーカーだったから、エンドハンガーを取り寄せして対応することにしました。

買取り後一ヶ月ほど経ってますが、ようやく用意しようと先週作業していた矢先にまた別のトラブルを発見してしまった。こちらのバイクはフロントギアがローターなのですが、クランクにガタが出ていました。

修理が必要なバイクはどうしても後回しになってしまうので、作業に入るまでずいぶん時間が掛かったりします。来週中に終わればよいのだけれども…。

クランクのガタと言えば、もう一件、シマノとカンパのイレギュラーなミックスコンポで組んでいたケンタウルのギアクランクにもガタが出ているバイクがあって、それはコンポを総取っ替えするので1月からまだ手が付けられていません。

クランクはカンパのウルトラトルクで、BBスレッドカップ内でベアリングに損傷が出ていてガタ付いているようす。

ただ、原因がわかってベアリングを交換してもイレギュラーなコンポでは販売できないので、別のバイクのコンポを交換した後に、その装着コンポをこのバイクに移し換える予定です。

こちらはシーズン中を目処に。昨年買取りのクォータも1台修理してから組むのがあるけど、そちらも今年中にはなんとかしたい。

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