自転車修理
続・買取りのロードバイクに生じていたトラブル
前回の買取りロードバイクのトラブルについて、残りの1件。今回は、ちょっとビックリしたペダルの装着に関する内容をご紹介します。
左右で反対に装着されていたペダル
店長は買取りしたバイクのペダルは一度外します。装着部品の中で唯一横に出っ張っているのがペダルです。そのままでは、店内に陳列する時に他のバイクにぶつかって、そのバイクにキズが付いたりするし、なにより店内に多くのバイクを陳列させるにはペダルの脱着は必要不可欠。
そして、うちのような狭い店内では、上のほうに陳列しているバイクを下ろす時には、ペダルが付いていると、重なった陳列什器の中から無傷で下ろすのはほぼ不可能。なので、必ず外します。しかしこのペダルは固かった。
最初は固着していると思ってラスペネを注したあとに、シャフトの先端を見てみると、シャフトがどうもクランクの装着穴に真っすぐ入っていないように思われる。そこで、クランクの外側を確認してみたところ・・・。なんとなんと、このペダルは右と左が反対だ。
ペダル脱着の時に固かったのはレンチの回し方が逆向きだったから
ペダルは右が正ネジで、左は逆ネジです。知っている方にとってはあたりまえの工具の使い方が、今回ばかりは通用しなかった。どういうことでしょう?
クランクの位置を変えて確認すると、ペダルが傾いて装着されているのがよくわかります。装着状態をじっくり見るとすぐに気付きます。でも、ペダルは左右とも一応付いているのでまさか反対に取り付けられているとは夢にも思わず、一生懸命逆の方向に力を加えていたのでした。
外そうと思ってトルクを掛けていたのに、まさかそれがネジを締めることになっていたとは・・・。どうりで外れないわけだ。
ペダル脱着作業で違和感を感じていたこと
何だかおかしいなと最初に思ったのは、延長パイプを使っていた時でした。レンチだけで外せない場合は次に延長パイプを使用します。しかし、いつものようにこのパイプをセットしようと思っても、内側に入りすぎてフォークに当たってしまい使うことができなかった。
先ほどの写真を見ると、レンチをセットした時にこれだけシャフトが傾いていたら、延長パイプはフレームとは平行にならず、どうしてもフロントフォークに当たりますね。そこで、レンチから一度パイプを抜いてラスペネを注している時に、ようやくこの状態に気付いたのです。
なんで、もうちょっと早く気付かなかったのと突っ込みが入りそうですが、実はこのバイクはホイールなしでの買取りで、購入後はほとんど室内で使っていたとのこと。ホイールがなければシフト確認もできず、お知り合いの方もいらっしゃったし、室内使用だったら変速は問題ないだろうと動作だけチェックして、ディレイラーの動きを確認したあとシフトの状況は未確認での買取りでした。(これがそもそもの間違い)
もちろんシフト確認の時にペダルを回したらすぐにわかったことですが、そういう事情があったのです。
左右のペダルの傾き具合を並べてみるとこのとおり。左右ともペダルが傾いているということは、右クランクに左ペダル、左クランクに右ペダルを装着しているということです。
こういうケースは初めてなので、想定外の出来事でしたが、ペダルは逆にしても一応クランクのネジ穴に入っていくんですねえ。ただし、店内のバイクで試してみたところ、正常にはすんなり入りません。引っ掛かりがある状態で無理やり押し込んで装着したのかな。
これまでも、ペダルの装着を間違ってネジ山をつぶしたクランクを何度も見て来ましたので、逆にした場合は装着できないだろうと思ってました。なので、これはある意味新鮮な驚きでした。使えはしないけど入るんだねと。
このイレギュラーなペダル装着は、今後のためにもいい勉強になりました。でも、ペダルがクランクに対してこれだけ傾いていたら、スマートトレーナーでもだいぶ違和感があって相当漕ぎづらかったのではないかと思います。
クランクのネジ山修復にトライ
今回のペダルは、左右を取り違えて反対に装着されていたのを外したあとに、クランクのネジ山がタッピングで修復できるかどうか試してみました。
山は完全にはつぶれていないようので、これだったら何とかなるかも。
左右とも無事にネジ山が修復できました。タップをセットする時に微妙な引っ掛かりがあって危ない場面もありましたが、慎重に作業してなんとか修正完了。
タップ掛けを終えてペダルを正規の状態で装着できることを確認し、レンチを使った固定も再確認。しっかりトルクを掛けても問題なし。ギアクランクは別のものに換えなければ駄目かと思っていたのでそのまま使えるとわかってひと安心です。
ペダルの左右を見分ける方法
こちらのバイクに装着されていたペダルはタイオガのフラットペダルでしたが、六角レンチで着脱するペダルには通常は刻印がないため、ペダルだけを見て左右を判断するのは難しいかもしれません。
ビンディングペダルのようにシャフトの先端にこういうスリットが入っていればそのペダルは左側です。スリットですぐに判別できます。でも、六角レンチで着脱するフラットペダルがすべてそうかはわからないけれども、このペダルにはスリットはなく間違えやすいですね。ビンディングのようにプレートの形状で見分けることもできないし。
15mmのレンチで着脱するペダルは、シャフトに英字で右か左かの刻印があるので誰でもわかると思いますが、六角レンチでフラットペダルを交換する時には間違えないよう十分気を付けたいものです。
もし、ペダルだけで左右を判断しなければならない時は、シャフトのネジ山で見分けます。まず、シャフトを上側にして、右ペダルは、ネジ山が左が下側に斜めになっている状態を確認し、右回しで装着するのでネジの始まりは右側。
当然、左ペダルはその反対で、ネジの始まりは左側となります。パッケージには左右の表示があるかもしれませんが、取り出したあとに左右がわからなくなったら参考にしてみてください。