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旧式デュラエースで悪戦苦闘した電動メカのトラブル

2024年07月15日

バイクメンテナンス

旧式デュラエースで悪戦苦闘した電動メカのトラブル

昨年春に買取り後、いまだ販売できない一台のバイク。その原因とは?

年間何台か入荷するDi2コンポーネントの搭載バイクですが、昨年買取りした中に、7970のデュラエースで組んだコルナゴが1台ありました。

7970シリーズは、おおよそ20年くらい前に出た10速の電動コンポ。そのバイクを持ち込まれたのは知人から譲り受けたというセカンドユーザーでしたが、実はロードバイクにはまだ一度も乗ったことがないという女性の方でした。

モデル名とカラーリングで製造年度を調べたところ、年式はおそらく2006年か。譲り受けたあと乗車した回数はおそらくゼロ。保管年数も相当経っているらしく、バッテリーの残存容量もとうに切れていた。当然Di2も一切動作しない。

この時はコンポの動作不良はまったく疑わず、単なる電池切れと判断し、外観はきれいでコンポもそれほど使用感はないので買取りを行ったわけですが、ところがどっこい、バッテリーを満充電したあとレバーのスイッチを操作しても、ディレイラーはうんともすんとも言わず、まったく反応する気配がない。これは困った。

電動コンポでメカが動作しないこういうケースはもちろん初めてのこと。旧式の電動コンポ搭載バイクについては、実際に使用していたバイク以外は慎重に対応したほうがよいなという稀有な経験を得られた一件でした。

さて、そういうことで、動作不良の原因探しは相当時間が掛かると思って延び延びになってしまい、1年以上経ってようやく重い腰を上げることになったのですが・・・。

電動式7970デュラエースがなぜ動作不良を起こしていたか

旧式デュラエースで悪戦苦闘した電動メカのトラブル

電動式コンポで動作不良の原因を探すことは、これはとても骨の折れる仕事です。さらに、7970のDi2は少し特殊なコンポで、新車を扱っていた当時も、電動コンポへ換装した作業の中では7970は経験ありません。

そこで、最初に、シマノに動作不良の原因は何が考えられるか聞いてみました。この当時の資料に詳しい担当の方をご指名して伺ったわけですが、結果は、やはりというか、一点づつ原因となりそうな要素をつぶしていくしかなさそうです。

一番はじめはコードの接触不良を疑って、まずその作業から着手しました。

実は、本格的に原因探しの作業をする前に、ちょっと不思議な現象が・・・。バッテリーのブラケットからバッテリーを着脱すること3回目、リアディレイラー(以下、RD)だけは動作するようになったのです。

フロントディレイラー(以下、FD)のほうは、アウターの状態だったのがインナーには落ちたものの、落ちたまま再びアウターに戻ることはなく、残念ながらFDは復活できず。

しかし、RDが動いたことで前途に明るい希望の光が差し込んで、これで電動コンポが使えるようになるだろうと大変に喜んだ店長です。(しかし、結局ぬか喜びに終わってしまう)

コードの接触不良で最初に疑った箇所

旧式デュラエースで悪戦苦闘した電動メカのトラブル

なぜ、バッテリーをブラケットから3回も着脱する必要があったのかと疑問に思う方もいるでしょう。仰せのとおり。1回目は充電するために当然ながら、2回目の着脱はシマノに問い合わせたあとにふと過ったことを試してみたかったから。

当時、外装式Di2のブラケットを装着する時は、ダウンチューブのボトル台座を利用することが多かったですね。その後、ダブルボトルを使用するためには、これでは装着できないので、最初からDi2を想定しているフレームは反ドライブ側のチェーンスティに専用台座を設ける仕様にし、徐々にそういうフレームが出てきました。

こちらのバイクはもちろんDi2想定フレームではありません。恰好は同じように見えるものの、ブラケットの装着は、ゴムバンドを加工したものを当てて結束バンドで取り付けられている状態です。これは大変に脱着しにくく、バッテリーを外す時もブラケットに引っ掛かってスムーズに外せません。

そこで、レバーはパチンとロックはされているけど、もしかしたらここで接触不良を起こしているかもと考え、ライトの不点灯でもよく使う接点復活剤を吹きかけてみることにしたわけです。接触不良が原因ならば、これで解消するはず。

さっそく、期待を込めてシュッと一吹き。結果は? 残念、接点復活剤でも解決はしなかった。

で、3回目。数週間が経ち、本腰入れて原因を解明しようとした矢先、まずは電源がしっかり補充されたままか、念のためもう一度確認するために外したわけです。充電器で満充電を確認後、ブラケットに戻し、まさか動作はしないだろうと思いながらも何となくレバーのスイッチを押してみたら、なんと変速されてしまった。

FDの動作不良の原因は何か切り分けるために試したこと

旧式デュラエースで悪戦苦闘した電動メカのトラブル

意外や意外、いきなりRDが復活したので、この時は大変ビックリしました。RDはシフトアップもシフトダウンも至って正常。こちらの動作不良は完全に解決されたかと思った。(あくまでこの時は)

問題はFDに絞られたので、原因がFD自体か、もしくはSTIレバー(以下、ST)か、もしくはコードが関係しているのかを切り分けるために、STのプラグからコードを抜いて左右を入れ替えて確認してみることにする。

まず、ハンドルから外した左レバーに右レバーの装着コードを差して、動作するかを確認します。最初に、コードを抜きやすいようハンドルからレバーを外す前に、左レバーからコードを抜く。

次に、右レバーからコードを抜く。

動作するかいよいよテスト。ドキドキの瞬間。前後ディレイラーの動作はコードのほうに依存されるためレバーが正常ならRDが動くはず。

右レバーの装着コードを、外した左レバーに差し込んで確認したところ、左レバーでもRDがシフトできた。この結果、動作不良の原因からSTは除外し、FD側の動作不良に関係するのは左コードかFD本体だとわかった。

今度は、左レバーから抜いていた装着コードを右レバーに差し替えて、FDの動作を確認してみる。果たして結果は?

フロントディレイラーが動作しない原因が絞られてきた

旧式デュラエースで悪戦苦闘した電動メカのトラブル

やっぱり、FDは動かなかった。一応、接点復活剤を吹き掛けて試したけれども駄目だった。動かない。念のため、もう一度右レバーに本来のRD側コードを装着して動作を確認してみる。

当然というかRDはしっかり動作するので、原因はやっぱり左レバーの装着コードか、もしくはFD本体。こうなると順番に交換しながら確認していくことになる。もしくは全部一辺に交換するか。

左レバーに装着されているコード、いわゆるシマノでいうエレクトリックケーブルは、7970はフライトデッキのモニターを通して接続されているため、交換する場合はジャンクションAというエレクトリックケーブルに替えなければなりません。

フライトデッキは、他の機能は動作しているので使えなくなるのはもったいないけど仕方がない。こちらは犠牲にしてジャンクションAのケーブルに交換することにします。

そこで、現行品のジャンクションAが使えるかわからないので、7970で使っているケーブル「SM-EW79A-E」を中古で探します。まずは店長も出品しているヤフオクから。と、さっそく良さそうなのが見つかった。本体のFD-7970と一緒のセット品。即決出品の商品だ。電光石火で落札。

ジャンクションAケーブルとFD本体を揃えてはみたものの

旧式デュラエースで悪戦苦闘した電動メカのトラブル

当初の予定はこうです。交換の流れとしては、まずジャンクションA・エレクトリックケーブルに換えたあとに様子をみて、もしも動作しなかったら次にFD本体を交換するという工程を予定していました。

で、ここで一つ心配なのは、ジャンクションAケーブルとFD本体を換えても作動しない場合です。その時は次にジャンクションAに繋ぐジャンクションBが原因として考えられるのでこれを換えなければならないでしょう。

しかし、ここで更なる問題が発生する可能性がないとも言えず、それは、7970のジャンクションB「EW-7970」は各ケーブルをプラグで差し込む方式ではなく、ジャンクションとケーブルが最初から一体式になっているため、もし最終的にジャンクションBが原因となっている場合はやっかいなことにもなりかねない。

外装ケーブルはすべて専用テープでフレームに貼られています。バイクの使用頻度は高くないし、太いケーブルなので断線は可能性が低いですが、こちらのジャンクションBの交換は、ケーブルが外せる別体式の仕様ではないのでケーブルごと一緒に交換となります。

で、ケーブルを剥がす時に、年式が古いフレームはテープが固着していると塗装が一緒に剥がれてしまう可能性もあってそれが心配なのです。

しかし、そのことも杞憂に終わる出来事が起こってしまった。良いほうではなく反対なことが。

想定外だった7970の電動コンポ換装作業の結末

旧式デュラエースで悪戦苦闘した電動メカのトラブル

様々な打開策を講じて、なんとか使えるようにしようと一生懸命準備してきた特殊な電動コンポ、7970デュラエースのDi2。中古パーツが入荷したのでさっそくケーブルを繋いでみたところ、急転直下、まったく想定していなかった事態に陥ってしまった。冒頭の、店長の喜びがぬか喜びに終わってしまう出来事が発生。

入荷後、喜び勇み、さっそく左レバーのケーブルをフライトデッキの接続から外してジャンクションAに換えてみる。絶対動くはずだと念じながら、期待を込めてスイッチをポチッ。でもフロントは一切動かない。あらら。まあ、でもとりあえずはこの時点ではまだ想定内。

電動コンポでは、通常はメカのほうは落車で衝撃が加わるとか、何らかのアクシデントがなければ不具合が起きる可能性は低いと思いますが、そうは言っても現状動かないので、今回はFDが原因なのかもしれない。そう思って、気を取り直し、次の作業に移ろうとしたわけですが、FD交換の前に再度RDをテストした時のことです。

前回のテストでは、リアは動いたので、右レバーにジャンクションAのケーブルを接続してもう一度ポチッ。あれっ? おかしい、動かない。フライトデッキのコードでもう一回接続し直してこちらでも確認してみる。しかし、今回はどうやってもRDは動いてくれなかった。

今回もリアが動けば、今度はジャンクションBを手配して試してみることもできるが、こうなると原因がどこにあるかまったくわからない。この状況では、ジャンクションBを換えても復活できない可能性も高く無駄足になってしまいそう。そこまで冒険はしたくないので、結局Di2はあきらめ機械式で組みなおすことにする。

こちらのコルナゴはせっかく時間を掛けて準備をしてきたのでとても残念ですが、またしばらく倉庫で待機となります。機械式パーツで足りないのはあと一点だけ。10速から11速に換えることにして、手持ちのパーツで不足なのは5800のSTIレバーだけですが、次の出番が来るまで辛抱強く待つことにしましょう。

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