ロードレースの最中に、大きな集団を分断するために先頭の選手が急激にスパートしたり、あるいは、他の選手にどれくらい足があるのか(体力を残しているのか)、これを探るために突然アタックすることがある。これらを揺さぶると表現することがある。行動の直後に、しきりに後ろを振り向いて様子をうかがっている時は、揺さぶってる可能性が強い。
ちなみに、前者は、あるチームがレース全体の主導権を握ろうとしてアシストが動く場合や、また、チームの意図に関係なく、誰かを誘って逃げ集団を形成しようとする時にもみられる。後者は、逃げている集団の中から再びアタックしてその集団を更に小さくすることを目的にしていたり、あるいは、自分の勝利を目指して揺さぶることもあるだろう。
また、最後の作戦として用いる場合もある。特に上りのコースで、例えばこういうケースの時だ。
レース展開の末に、ゴールを目前にして、最後に3人だけになったとする。3人の内訳が、2対1の2チームで対峙している場合、あきらかに2人チームのほうが有利だ。なぜなら、2人のうちの一方が揺さぶりを掛けて、それを交互に繰り返して相手(1人チームのほう)にダメージを与えることができるから。相手はこれに常に応じなければならない。このアタックを見逃すと、みすみす勝利を奪われてしまうので、不利とわかっていても反応せざるを得ないのだ。こうして相手の体力を消耗させながら、2人チームはどちらか一方を勝たせる作戦を取る。実に合理的な作戦。
このように、揺さぶりが功を奏するのはほとんどが上りのコース。仮に、レース展開の中で集団がチームとして機能しないままイーブンペースで進んでいる場合などは、そこから何度か揺さぶるようなアタックが繰り返され集団を徐々に絞っていくことで、最後に優勝できる可能性のある選手だけが残って勝敗を決するのが理想的なレースである。
いずれにしても、揺さぶりとは、相手の出方を窺うような短いアタックを意味する。その後の状況を確認したあとに、必要ならば本格的なアタックに移る。