レースに興味はあるけど、自分にもできるだろうか。初めての方は未経験の世界に始めは戸惑うかもしれません。そこで、実際に市民レーサーが出場しているある大会を例にとって、レースに参加する一日の流れを紹介してみたいと思います。レースに関心ある方は、ここで大まかな流れを掴んで一度チャレンジしてみませんか?
今回参加するレースは、ツールド北海道の代表選手を選抜するための選考会を兼ねた、北海道ではメジャーな大会の一つです。今回は、アティックからは 7名の選手が出場しました。出場者は体力と年齢によって出走グループが分けられており、チーム員は次のカテゴリーで出走しました。
エリート:8周回 | H谷 |
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S2:5周回 | U山、T田 |
S3:3周回 | T沼 |
S4:2周回 | W辺、T野 |
V2:2周回 | N西 |
コースは一周 12kmの山岳コース。出だしから緩い登りで始まり、その後4kmのヒルクライムへと続き、ヘアピンコーナー、長い下りにアップダウン、そして激坂下りで戻ってくるという厳しいコース設定です。チーム員はこのコースをどのように戦ったのでしょう。一日の動きを追ってみます。
到着するとすぐに自転車を組み立て、空気圧調整、チェーンメンテナンス、ブレーキ調整など、安全確保のための調整を行います。また、スタートの 2 、 3 時間前のこの時間、本番を走りきるための補給(食事)をしっかりと済ませておくことが大切です。
この時間帯はまだ気温が低いため、しっかりとした防寒装備で出て行きます。本番前のウォーミングアップは非常に大切で、この日は1時間ほどかけてしっかりと行っていました。
最初のカテゴリーが出走する時間帯から1時間以上前なら本番コースも閉鎖されていないので試走できます。朝一番でウォーミングアップした選手たちは、出走時間が9時くらいの、早い出番なのです。7:00頃になると、もっと遅い時間に出走する選手たちも続々とスタート地点に集まってきます。全員の出走受付が8:30だからです。受付開始の1時間前には、自転車の整備を終えておきたいところです。
ここではヘルメットを中心とした装備チェックが行われました。あわせて、 9 時前後スタートの S4,S3,V2 カテゴリーの選手たちが「出走サイン」を行います。出走サインは、主催者が定めるルールに則って参加しますという誓約のサインで、ロードレース参加においては非常に大切な、必須の手続きです。これをしないと出走できません。
コミュニケ(公式掲示板)に随時張り出される情報も選手にとって非常に大切。運営上の情報が続々とステイトメントされるので、頻繁にチェックする必要があります。スタート時間の変更や走行中の注意事項など、選手として知っておかなければいけない情報が掲示されるのです。少なくとも受け付け時、スタート 1 時間前、 15 分前の 3 回はチェックした方がよいでしょう。
出走 1 時間前は忙しくなります。 8 時過ぎには最終的なアップを開始しました。心拍数を上げ、いったん軽く乳酸を発生させるくらいまで体を温めます。当日の体調を探りながらアップし、あわせて出走時の服装や装備も決定します。
出走 10 分前にはスタート付近に集合がかかるので、選手が集まってきます。この時は、合計 6 カテゴリーのグループが 3 分おきに次々とスタートすることになっていました。自分のグループが何番目で、何時何分にスタートするのか、正確に把握しておかないと大変なことになります。
また、カテゴリーごとに周回数も違うので、ゴール時にも注意が必要です。周りで走っている人につられて、間違った周回でゴールしてはいけないからです。
右の写真は 2 分後です。いよいよスタートラインに移動し、整列します。緊張の瞬間。これからスタートまでの数分間、もっとも緊張を強いられる時間帯です。今日の作戦を頭の中で復習します。
しっかりとカメラを構えながら心の中で応援、「アティックガンバレ!」。
周りではチーム員が声援を上げています。チーム登録していると、こういうとき嬉しいですね。
さて、どんな展開でレースが進むんだろうとワクワクしながらシャッターを切ります。自分も出走すれば良かったと、ちょっと反省。
再び号砲とともに選手たちが出て行きます。今回初めてレース参加の方もいて、ギャラリーにも緊張が伝わってきます。
新緑の中で爽やかなスカイブルーのニュージャージがとてもきれいに見えました。
ゴール前のスプリントで全力を出し切り、顔もゆがみます!
結果、 W 辺さんが S4 で 2 位入賞。オ・メ・デ・ト・ウ!登りの途中でチェーンの脱落に見舞われた T 野さんも、気合いの追い上げを見せて順位を上げ、鬼気迫る表情でゴール。
選手はゴールしたら、心拍が落ち着くのを待って、ゼッケンを本部に返却します。
S4 ゴールのちょうどそのころ、後から出走する選手たちは心の中で仲間を応援しつつ、しっかりと自身のスタートに向けてアップ開始、そしてオイルマッサージ。
経験者になるほど、スタート前の体のメンテナンスが重要であることを理解しています。
市民レーサーの中でも上級者で、走行距離も長く厳しい闘いが待っています。レース中の消耗が激しいため、補給を事前にしっかりと行っておくことが重要であるとともに、それなりの補給食を携帯して出て行きます。
高いレベルで展開される闘いで、表情も厳しいですね。ゴール前を通過するごとにチームメートから応援のかけ声がかかり、前の選手との時間差といった情報が伝えられます。でも本人はいっぱいいっぱいで聞こえてないかもしれません !?
1秒でも早く、最後まで全力を出し切って前を追い、歯を食いしばって闘志をむき出しにしてゴールを目指す。その集中力や厳しさ、充実感が伝わってきて、観客も一体感に酔いしれ声援を送ります。チーム員は二人とも 6 位 7 位と一桁順位でした。健闘!お疲れ様でした。
「いやー、チェックしてたやつがアタックしたがっててさー、コノーって思って、、伝々」、「ダメかなーと思ったけどだんだん追いつくんだよねー、、、」などなど。ゴール直後、感想戦で話しが盛り上がります。ロードの楽しさを実感する瞬間です。
トップカテゴリーではメーカーのサポートカーも付いて、まるでテレビに出てくる国際大会のように華やかです。それにしても、山岳コースを 3 時間も闘う体力は凄まじい。ゴールスプリントも大迫力で、既に早い時間帯にゴールした選手たちがギャラリーとなって声援を送ります。
この日、チーム員最高順位は S4 の 2 位。レース初参加での快挙でした。あらためて、おめでとうございます。サポートカーを背景にして、爽やかなブルーのチームジャージが映えますね!今後のロード生活が楽しみ。これでもう、ロードレースのとりこになったかも !?
15 時には撤収開始、車に分乗して帰途につきました。
レースはこのように早朝から夕方まで続きます。従って食事の手配も考えて現地入りすることが必要だと思います。特に、ゴール後に疲労困憊した体を回復させるためにも終了後の補給の準備は必須です。ここで問題になるのが、レース会場の地理的な特性です。ほとんどの場合、付近にコンビニなどなく、ましてや開始前の早朝は営業していないことが多いです。この点を考慮しておかないと、当日痛い目に遭うことになるので気をつけて準備しましょう。
さて、今回は「レース参加の流れ」という観点から、時系列でまとめてみました。レースのイメージが少しつかめたでしょうか?
欲を言えばレースの内容について、誰がどういう作戦で走って、誰がどこで逃げて、後続に捕まって、、、というところまで踏み込んで説明した方がおもしろいと思われるのですが、それはまた機会を改めて、ということにさせていただきます。
最後に、こうした大会の運営は基本的に、ボランタリーな市民によって行われています。ですので、運営者への感謝の気持ちを表しておきたいとおもいます。走る人として参加するもよし、また運営協力という形で参加するもよし。あなたもこのワクワクドキドキの世界に飛び込んでみませんか?
TEAM アティック 武藤俊雄
まず、取材者は日曜日当日に現地入りしました。この日の選手受付は 8:30 です。だいたい 2 時間前には続々と選手が集まってきますので、私はさらにその 1 時間前には現地入りしました。案の定、 6 時過ぎにはチーム員が指定駐車場にやってきました。